HOME > 議会レポート > 予算議会 > 人権侵害の校則をやめよ

議会レポート

人権侵害の校則をやめよ

2021年3月23日の予算議会で、共産党の山口湧人市議は、人権侵害の「ブラック校則」をやめるよう教育委員会を追及しました。
そのやりとりの一部を紹介します。

憲法の「表現の自由」は合理的理由なく規制できない


山口湧人 今年2月、福岡県弁護士会が、(福岡市内の市立)中学校69校の校則や生活の決まりなどの調査を行い、合理的理由が説明できない校則や生徒指導の実態が明らかになったとして、そのような校則や生徒指導の廃止、もしくは見直しを求める意見書を提出した。私自身も、69校の校則を調査し、見直しを求める当事者の話を聞いてきた。憲法21条、子どもの権利条約13条1項には何と書いてあるか
 
教育長 憲法21条には『集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する』及び『検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない』、子どもの権利条約13条1項には『児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む』と示されている
 
山口湧人 表現の自由を制限するには、合理的理由が明確でなければならない。校則や生徒指導が真に必要かつ重要な教育上の目的、社会通念上、合理的理由が認められるのか、質していく

 
 
スカート丈を規制する理由は


山口湧人 ほとんどの中学校がスカート丈の長さを『膝の上にならない程度に調整』『うつむかず背筋を伸ばして立った状態で膝が見えない』などと規定している。スカート丈の長さを規制する教育上の目的はどこにあるか
 
教育長 スカート丈の長さの規制は登下校を含めて生徒が健全で安全な学校生活を営み、よりよく成長するための行動の指針として定めており、社会通念上、極端でない長さの規定は必要かつ合理的な範囲と考えている
 
山口湧人 その基準は誰が決めたのか、客観的基準を明確に答弁せよ
 
教育長 各学校で決められている
 
山口湧人 学校で決めるというけど、教育委員会の『新標準服採用における校則に関するガイドライン』では参考例でスカート丈の長さについて『直立姿勢で、膝が隠れる程度の長さにすること』として示している。教育委員会が合理的な理由、教育上の目的について指針を持っていると思うが、重ねて答弁を求める
 
教育長 教育委員会から指針を出しているが決定するのは各学校だ
 
山口湧人 『健全で安全な学校生活を営み、よりよく成長するため』にはスカート丈が膝の下にないといけないというなら、その客観的基準を答弁せよ
 
教育長 規定については生徒が規範意識を持って健全な学校生活を営むことを目的としている。その内容は生徒の実情、保護者の考え方、地域の実情、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものだ
 
山口湧人 そういうことは生徒自身が判断すればいいだけだ。客観的基準は存在しないということだ。スカート丈の規制は意味がない

 
 
ポニーテールやツーブロックは「社会的規範」を守っていないのか


山口湧人 ポニーテールやお団子、ツーブロックなどの髪型が禁じられている。なぜ禁じるのか、教育上の目的、合理的理由の説明を求める
 
教育長 髪型の指導は生徒が規範意識を持って健全な学校生活を営むことを目的としているが、その内容は生徒の実情、保護者の考え方、地域の実情、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものでなければならない
 
山口湧人 意味がわからない。『規範意識』とは何か。その客観的基準を説明せよ
 
教育長 (1分間沈黙)準備ができてないので答弁できない。(後ろと打ち合わせ)社会規範の遵守について適切な指導を行うことは極めて重要なことと認識している。このことは文科省の『生徒指導提要』にも記載されている
 
山口湧人 『提要』にはなんと書かれているのか
 
教育長 手元にない。(後ろからメモがくる)『学校には一定の決まりが必要』『社会規範を重視し適切な指導を行うことは極めて重要』『校則は必要かつ合理的な範囲で制定されたものであり、校則を制定する権限は校長にある』とされている
 
山口湧人 ツーブロック、ポニーテール、お団子の髪型の生徒は『社会規範を守れない』というのか
 
教育長 髪型の規定は規範意識を持って健全な学校生活を営むためのものだが、その内容は、生徒の実情、保護者の考え方、地域の実情、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものでなければならない
 
山口湧人 一律にツーブロック、ポニーテールの髪型は禁止と校則に定めている。規制になんの根拠もない。熊本市教育委員会は、ツーブロックなどの髪型の規制には合理的な理由が認められないとして見直しの対象にしている

 
 
力づくで眉毛や髪を直すことも「教育」なのか


山口湧人 染色やパーマも多くの学校が禁止している。違反した際の指導について驚くべき内容が明文化されている。『髪が染めてある状態では教室にあげない』『学校で黒く染めることもある』『一旦黒に染めるが、本来の自分の髪の毛に戻せるよう過去した部分を切っていくよう指導する』など意味不明だ。中学生は一律に黒髪でストレートにしなければならないという規制に合理的理由は見出せず、無理やり力づくを直させるのは明らかな人権侵害ではないか
 
教育長 髪を染めた生徒には色を元に戻す指導を行い、指導に従わない生徒については別室にて学習を行うこともあるが、教育的指導の範囲内だ
 
山口湧人 人重大な答弁だ。人権侵害の生徒指導を放置するのか
 
教育長 教育的指導の範囲内だ
 
山口湧人 ある学校では眉毛を加工したら、『別室で指導』『太く大きく描く』『眉毛が生えそろうまで休み時間はトイレなど以外は教室から出さない』――こんな校則まである。授業を受ける権利を侵し、人権侵害ではないか
 
教育長 教育的指導の範囲内だ
 
山口湧人 あらためるべきだ
 
教育長 いや、教育的指導の範囲内だ

 
 
他市でセクハラ認定の下着検査も「教育」?


山口湧人 弁護士会の調査では市の学校の8割以上で下着検査をしている。下着の色を規定する教育上の目的は何か
 
教育長 肌着などの規定は華美な色が透けて見えることや経済的理由からカッターシャツやブラウスの下に着用するものは色を指定することもあるが、それ以外は色を指定することはない。なお福岡市においては下着の検査は実施していない
 
山口湧人 一般社会では下着の色まで決められていることはない。このような校則があるため、下着の色を目視でチェックするなどの生活検査が行われている。弁護士会の調査では『女子生徒が男の先生から下着の色を指摘され、それ以来学校に行けなくなった』という声が紹介されている。下着チェックは明らかなハラスメントであり、人権侵害ではないか
 
教育長 令和2年11月に教育委員会が調査したところ全ての中学校で下着の検査は実施していない
 
山口湧人 『カッターシャツの下に着る下着は白』『柄シャツは脱がせて担任が預かる』と城南区の校則に書いてある。これは下着検査ではないのか
 
教育長 教育的指導の範囲内だ
 
山口湧人 『教育的指導』ということで(検査を)行なっているということだ。大阪・枚方市では教職員が生徒の下着の色・形を話題にすること自体をセクハラとしている

 
 
服は男女で分けないようにしたのに髪型はなぜ分けて規制するのか


山口湧人 男子は『前髪は眉や目にかからない、横髪は耳にかからない』、女性は『前髪は目にかかる場合はピンで留める』『両眉が見えるようにする』『肩にかかる場合は耳より下で結ぶ』と明確に男女別に規制している。男・女以外の性を自認する人、生まれた性に割り当てられた性と性自認や性表現が異なる人などいる。にも関わらず、男女区別して頭髪を規制する合理的な目的はあるのか
 
教育長 肌着などの規定は華美な色が透けて見えることや経済的理由からカッターシャツやブラウスの下に着用するものは色を指定することもあるが、それ以外は色を指定することはない。なお福岡市においては下着の検査は実施していない
 
山口湧人 一般社会では下着の色まで決められていることはない。このような校則があるため、下着の色を目視でチェックするなどの生活検査が行われている。弁護士会の調査では『女子生徒が男の先生から下着の色を指摘され、それ以来学校に行けなくなった』という声が紹介されている。下着チェックは明らかなハラスメントであり、人権侵害ではないか
 
教育長 長頭髪規制は清潔感を持たせ、不快感を抱かせず、顔の表情をわかりやすくするために教育上の目的を達成するために必要なものとして定めているが、男女別の規制はわかりやすさなどから慣例的に設けられてきたものだ
 
山口湧人 矛盾している。ジェンダー平等は世界の流れだ。男女差をなくした新標準服の導入の趣旨と矛盾するのではないか
 
教育長 男女別の頭髪規制は男女の公平性やLGBTの配慮などを踏まえ、生徒一人一人の個性が尊重され、多様性が認められるものとなるように改善することが望ましい旨を各中学校に通知している
 
山口湧人 頭髪の男女区別を規制するのは見直すべきだ
 
教育長 すでに改善するよう通知している
 
山口湧人 私がもらった各学校の校則では男女別の規制が行われている。今後指導していく、なくしていくということか
 
教育長 教委として改善することが望ましい旨の通知をしている
 
山口湧人 改善されたかどうかしっかり実態を調査すべきだ

 
 
子どもの意見を踏まえて人権侵害の校則は見直せ


山口湧人 熊本市のように子ども・教職員・保護者へ大規模な実態調査をすべきだ
 
教育長 市立中学校においては必要かつ合理的な範囲内で校則が定められている。今後も校長会と連携し各学校の校則が生徒の実情、保護者の考え方、地域の実情、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものとなるよう見直しを行う
 
山口湧人 明らかな人権侵害が起きている。教育委員会がイニシアチブを発揮して是正すべきだ。学校は社会の理不尽さに適応し、我慢する力をつける場ではなく、子ども自身が、自身に関係することは自由に意見を言えて、理不尽なものは変えていけるということを学ぶ場であることを教育委員会が認識すべきだ。子どもを管理・規制の対象とせず、権利の主体として捉え、人権侵害の校則を直ちに廃止し、子供から直接意見を聞き取り見直しのための手立てをとるべきではないか
 
教育長 校則は学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内で定められるものであり、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための指針として各学校において定められている。今後とも各学校の校則が保護者に理解されより教育的効果を高めるよう取り組む