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議会レポート

臨時医療施設の設置、学校での検査充実、学生支援を求める

日本共産党の山口湧人市議は、2021年9月6日、福岡市議会の一般質問で、臨時医療施設などの設置・増設、夏休み明けの学校での検査の充実、コロナ禍での学生支援を求め、若い世代の人たちが傍聴に詰めかけました。

福岡市は「原則自宅療養(自宅待機)」という国の方針に追随し、市内の自宅待機者が3925人にのぼる一方で、市内の療養施設に入所できている人は392人にすぎないことが質問で判明。ところが市は “パルスオキシメーターを貸与し、保健所が電話している”として自宅待機が膨大に放置されている現状を正当化しています。

山口市議は市内の病院からの聞き取りをもとに、「本来は保健所の仕事だが、実際は病院がその代わりとして陽性者に電話をかけている」「その結果、1週間平均70人の陽性者のうち、3日以内にパルスオキシメーターが自宅に届いているのは1人しかいなかった」と実態を告発。市・保健所の宣伝する「自宅待機」対策がまともに機能していない実態が浮き彫りになりました。

山口市議は容態の急変により自宅で死亡したケースを紹介し、自宅待機では対応できないと市の姿勢を批判。自宅待機を原則にしてしまえば病床を確保しようとする行政のインセンティブが働かなくなるとして、全員入院にこだわって対策を進める和歌山県知事の発言を紹介しました。常に医療の目が行き届く臨時の医療施設を設置する努力が全国の自治体で始まっているとして、同施設の設置や医療機能を強化した療養施設の増設をするよう県に強く要求することを市長に迫りました。

髙島市長と荒瀬副市長は、自宅待機・療養施設入所・医療施設入院についての勝手な線引きをした上で「必要な方は入院・入所ができている状況だ」「原則自宅待機にはしていない」と開き直りました。

夏休み明けの学校再開による感染拡大が懸念されており、市教育委員会は時差登校などの対策を取っていますが、保護者や市民から心配する声が広がり続けています。

山口市議は、検査の充実が必要だとして2つの対策を提起。

第一に、クラスで感染者が出た場合のPCR検査が濃厚接触者に限られており、これをクラスや学年全体に広げるべきだと提案しました。

教育長はそうした場合の検査を濃厚接触者に限定することに固執しています。

1人でも感染者が出ればクラス全体・学校全体に広げることを原則とする文部科学省の新しい通知を紹介し、それによって濃厚接触者をいちいち特定する作業に追われる保健所や学校の手間もはぶけ、保護者や子どもの不安も解消できる――山口市議はこうした利点を説き、出張PCRセンターなどの活用を含めて広範な検査を要求。教育長は「今後検討する」と答弁しました。

第二に、市全体で大規模な検査を行って感染源を取り除く対策をすべきであり、学校でも教職員・子どもに頻回検査を行うよう提案しました。

ドイツでは学校で週2回簡易抗原検査を行っており、日本でも山口県の高校で全員検査が行われた事例を紹介。家庭でできるキットを使うなど具体的な提起をしましたが、教育長は「定期検査を予定していない」として冷たく拒否しました。

このほか、詰め込みをやめ、学校の裁量で教育課程を柔軟に見直せるようにすることなどを求めました。

コロナ禍での学生支援について、福岡市が行ってきた非課税相当世帯への「学生支援特別給付金」は、想定の半分以下の利用しかないことが山口質問で明らかになりました(1万6500人を想定し、実際の支給は7974人)。

山口市議は、市が学生の実態をつかまないまま、いい加減な計算で実施した制度設計の失敗だと強く批判。「両親と生計を別にしているが、今回は両親の収入の課税が引っかかり受けられなかった。一切仕送りを受けずに学費も奨学金も自身で工面している」など、市が給付金事業を委託した業者からの報告書の声を紹介し、非課税相当世帯以外にも困窮しているケースが数多く見られることを明らかにしました。

自身もかかわった学生への食料支援で寄せられた「米が買えない」「アルバイトが減って収入が激減した」などの声を突きつけ、要件を狭めずに学生支援特別給付金を再度支給するよう市長に求めました。こども未来局長は「若者が制度を十分理解せず利用できないことがないようにしたい」などと答弁し、自身の制度設計が大失敗した責任を棚上げし、責任を学生に押し付けました。また、市長も「国や大学の支援が確実に届くようにする」と述べるだけで、今後の市の支援策については口をつぐみました。

質問を終えて、山口市議からのコメント

<コロナ禍での学生支援>

<学校での感染対策・検査>