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「GIGAスクール」構想、コロナ禍での保育、 「表現の自由」と「行政の中立」を質問

2020年9月23日、福岡市議会の2019年度決算特別委員会総会で、日本共産党の山口湧人市議が質問に立つ、「GIGAスクール」構想、コロナ禍での保育、「表現の自由」と「行政の中立」についてただしました。

「GIGAスクール」構想は、学習の「個別最適化」をうたい、子ども1人に1台のICT端末を整備するという国の構想で、福岡市の学校でも推進されています。

山口市議は、感染症などの際にオンライン授業をするなどのICT化は進めるべきだとしつつも、「GIGAスクール」構想について、元になった経済産業省の研究会の提言では子どもたちがバラバラに学ぶ方向が示されていると指摘。AIへの依存などで、学びの共同が壊れるのではないかとただしました。

また、機器の導入も、分割が望ましいとされているのに、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス1社が独占したことがわかりました。さらにリース契約で市負担が19億円もかかり、これとは別に、ランニングコストが年5億円かかることが判明しました。

山口市議は、特定企業を儲けさせ、集団での共同の学びを壊す「GIGAスクール」構想をやめ、少人数学級を進めるよう迫りましたが、教育長は構想の推進を表明しました。

コロナ禍の保育について、代替保育の実施、保育関係者へのPCR検査を要求。市は「必要に応じ検討する」と述べるにとどまりました。

さらに、現在4〜5歳児は保育士1人に対し子ども30人という配置基準ですが、「保育士が2人いれば2グループに分け、室内で遊ぶ組と外で遊ぶ組などに分けられ、ソーシャルディスタンスも確保できる」という現場の声を紹介。保育士配置基準の改善を求めましたが、市長は応じませんでした。

「表現の自由」と「行政の中立」問題では、文化芸術基本法で、自治体は支援の際に表現の自由を保障し、芸術への介入をしてはならないと定めており、市も「自主性を尊重する」と答えましたが、市の文化振興事業において市の後援を求める市民に政治的中立を求めているのはそれと矛盾するではないかと追及すると、経済観光文化局長は「市の要項に基づいている」と述べるだけで、基本法との関係についてまともに答弁できなくなりました。

東区にある福岡市立の施設「なみきスクエア」の「ひまわり広場・会議室」は、市民に広く貸し出されているスペースで、事実上「公の施設」として扱われていますが、髙島市政は市の名義後援の有無を利用の条件にして、市民に政治的中立を押し付けています。山口市議は、「公の施設」の無差別の利用を定めた地方自治法244条に違反すると追及。市は「庁舎の一部であり、公の施設ではない」などと強弁しました。

また、「平和のための戦争展」で名義後援が拒否・取消しされた問題では、「平和のための戦争展」は文化芸術基本法に定める文化活動ではないのかとただすと、総務企画局長は答弁をせずにごまかそうとしたため、議場が騒然となり、再度答弁を求めると、しぶしぶ「文化活動だ」と認めました。「文化活動なら、支援に際して介入を禁じた基本法に反するではないか」と山口市議が追撃すると、「表現の自由は侵していない」というのみで、事実上答弁不能になりました。

さらに、これまで市は「国論を二分する一方の主張を支持すると市の主張と誤解される恐れがある」と同展の後援拒否を合理化してきましたが、山口市議は、この論理は「9条俳句事件」で最高裁が断罪した論理そのものだと指摘。「議論の分かれる問題において、一方の主張の名義後援を拒否することは、もう一方の主張を行政が持ち上げることになるではないか」とただすと、総務企画局長は根拠なしに否定するだけで、ここでもまともに答弁できなくなりました。

山口市議は、市長の思想に沿うものにだけ後援をしていると批判し、名義後援の要領改定を求めましたが、市長は拒否しました。