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議会レポート

5教科の詰め込み見直し、自衛隊への青年名簿提供の撤回を求める

2020年6月15日、日本共産党の山口湧人市議は福岡市6月議会の一般質問で、学校再開にあたっての課題と今後の教育のあり方、自衛隊への名簿提供問題について取り上げました。

緊急事態宣言が解除され、約3か月ぶりに学校が全面再開されましたが、福岡市教育委員会は小中学校でそれぞれ通常の授業時間を10分短縮し、1日最大7時間の授業や土曜授業の実施、夏休みなどの長期休業も短縮する方針です。山口市議は現場の教職員の「駆け足で授業が進み、学力格差が広がる」という懸念の声、「4時間座っているだけでも耐えられない」という子どもたちの悲鳴を突きつけ、コマ数をかせぐためだけの7時間授業はやめるよう迫りましたが、教育長は「1日の授業時間は短くなっている」などと、開き直りました。

さらに、山口市議の質問で教育委員会が「すべての教科の標準授業時数を確保する」としながら、実際には図工や音楽などを削減し、その分、国語・社会・数学・理科・英語の授業を増やして、5教科だけは教科書のすべての内容を1月までには終えてしまう異常な詰め込みをしていることが明らかになりました。山口市議は「人格の完成」という教育の目的から外れていることを指摘しましたが、教育長は「基礎学力につながる教科を優先させる」と言い放ち、5教科偏重の歪んだ学力観をあらわにしました。

また、山口市議は、運動会や児童演劇・音楽鑑賞会などの学校行事の中止を一方的に通知した教育委員会の姿勢を批判し、不要不急の外国語教育やプログラミング教育こそ削減すべきだと提案しましたが、教育長は「児童生徒に取って大切な学習だと考えている」と答弁、財界の求める「学力」のみを重視する姿勢が浮き彫りになりました。

最後に山口市議は今大切なこととして「不安とストレスをため込んだ子どもたちを受け止める手厚い教育と学習が遅れた子どもへの個別の手だてだ」と述べ、教員増による少人数学級の実現と文部科学省の通知にもとづき、2~3年かけて取り戻していくという姿勢にあらためるよう要求しましたが、教育長は「今年度内に終えられるよう努めていきたい」と授業時数かせぎに執着しました。

市民の反対を押し切って福岡市は6月5日、自衛隊に若者の名簿2万9817人分の提供を強行しました。2月に行われた個人情報保護審議会の答申では「提供を望まない人は除外する措置をとる」という厳しい条件がつけられましたが、除外されたのは対象の約0.8%、わずか233人しかいなかったことが山口市議の質問で明らかになりました。

山口市議は「除外申請の周知が不十分だからだ」と厳しく指摘。市政だよりへの掲載はわずか1回、市のホームページへの掲載は3回あったもののすぐにトップページから消える、市の公式Twitterで発信したものの、登録者168万人と圧倒的に多い公式LINEでは発信していない、市内学校でのポスター掲示も高校・大学対象校56校のうち、4校でしか掲示されておらず、休校中でほとんどの生徒の目に触れていないことを暴露し、「本人が容易に知りえる状態であること」を定めた個人情報保護法とガイドラインに反していると詰め寄りました。市民局長は「適切に実施している」と審議会の答申を無視する答弁を繰り返しました。

さらに、山口市議は提供にあたって、議員や市民が繰り返し提供日時等の情報の公開を要求したにもかかわらず、市が拒否し続けた問題について追及。市民局長は「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとし、具体的にどう支障があるかただすと「個人情報を安全に引き渡すため、事故等が発生しないように慎重に対応した」などと答弁しました。

山口市議は「名簿を見せるように求めたのではなく、提供日時を聞いただけ。不開示の理由にならない」と批判。「世論の高まりをおそれて情報を隠し、市民の代表である議員の調査権を妨害するだまし討ちは許されない」として、髙島市長に対し、市民に謝罪した上で名簿を引き上げ、提供を撤回するよう求めました。市長は謝罪を拒否し「適切に実施している」と無反省な答弁をしました。

また、市は自衛隊が使用目的終了後、協定書にもとづいてシュレッダー処理により名簿を廃棄するとしていますが、廃棄を書面で確認するだけで、立ち会いもしないため、目的外に使用されないという保証はどこにもないことも判明しました。