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議会レポート

12月議会反対討論

私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております諸議案のうち、議案第211号ないし219号、221号、222号、224号ないし226号、229号ないし232号、235号、236号、238号、240号ないし249号、253号ないし256号、258号、260号ないし262号、264号ないし269号、271号に反対し、討論を行います。

まず、議案第211号「令和2年度福岡市一般会計補正予算案(第6号)」についてです。

本議案は新型コロナウイルス感染症関連、災害対応、給与費等などの予算補正を盛り込んでいます。

新型コロナウイルス感染症関連として計上されている事業の大半は一刻も早く市民に届けるべきであるというのがわが党の立場でありますが、他方でそれ以外の部分には市民の立場から看過できない問題点が含まれております。

ここではとりわけ職員の給与費に関わる補正について述べておきます。

今回の補正は、市人事委員会の勧告にもとづき、2020年の月給の引上げをせず、今年の冬のボーナスについては0.05か月分の引下げを行うものとなっています。

この20年間で市職員の年間給与は約100万円も引き下げられ、子育てや親の介護が必要な職員には特に重い打撃となってきました。しかも新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、保健所をはじめ多くの市の職場が激務となり、職員のみなさんは粉骨砕身(ふんこつ・さいしん)の活動を続けているのであります。

先日副市長は労働組合との交渉の場で「職員には本当に尽力いただいた」と述べられて、深々と頭を下げていらっしゃったそうですし、教育長も本会議の答弁で「それぞれの職員が高い意識と責任感を持って対応してきた」と高く評価をしましたが、こうした職員の献身的努力に対する市長の仕打ちがボーナスのカットというのは、あんまりではありませんか。モチベーションの低下を引き起こす、このような補正案を、わが党は認めることはできません。

また、今回、医療・介護・障害者施設への従事者に対するPCR検査が無料で受けられるようになり、遅きに失したとはいえ、わが党がかねてから主張していたものであり、評価いたしますが、他方で、同様にクラスターが起きている学校や保育所など、子ども関連の施設を除外しているのは、感染拡大防止の観点から見て問題があります。とりわけ、障害者施設には適用するのに、障害児施設を対象から排除するのは、全く道理に合いません。直ちに是正するよう強く求めておきます。

次に、議案第255号「中央区内設置の自転車駐車場に係る指定管理者の指定について」です。

本議案は、桜坂駅の駐輪場ほか5か所について指定管理者の指定をするもので、これまでの公益社団法人福岡市シルバー人材センターは指定から外されます。

本市のシルバー人材センターは就業を通じて高齢者の能力を活用し、社会参加や地域の活性化を図るための重要な事業体です。これまでも市は同センターについて「本市としましても、その取り組みの推進(に)、積極的に協力をするとともに、業務の発注という形での支援はもとより、今後とも、人的、財政的にも支えながら、仕事を通して社会参加に意欲的な高齢者を支援していく所存でございます」という市長答弁をしてきました。同センターを指定から外すのは、この答弁にも反するものであり、わが党は賛成することはできません。

次に、議案第264号「福岡市総合体育館整備運営事業に係る契約の一部変更について」および議案第265号「福岡市科学館特定事業に係る契約の一部変更について」です。

これらの議案は、コロナ対策を講じるために市が要求水準書を変更したという名目で、体育館については約5000万円、科学館については約2400万円、運営会社との契約価額を引き上げるというものです。

そもそも、これらの施設の運営はPFI方式で行われており、例えば科学館では福岡市からの15年間103億円に、利用料・貸し室料を加えて運営会社が運営をしております。来館者数は初年度には当初見込みの3倍、昨年度も倍近い利用料金等収入の実績があり、利益は当初計画より大幅に上乗せされています。

市側は審議の中で、今回のパンデミックは想定されていないことだったと言い訳していますが、福岡市は「新型インフルエンザ等対策行動計画」をこれらの運営会社の選定以前に決定しており、想定していなかったという言い分は成り立ちません。

もともと来場者が相当多く見込まれる、いわゆる「ドル箱」の施設であることは初めから分かっていることであり、想定されたリスクに備えて利益を使うことが公的な施設としては当然求められるところであります。ただただ大企業が加わる運営会社や背後にいる銀行に言われるがまま契約価額を引き上げるというのは、特定企業を儲けさせるだけの税金の浪費であり、許されるものではありません。

同様に、議案第266号「第3給食センター整備運営事業に係る契約の一部変更について」も、コロナ対策を講じるために工期を変更したという名目で、相手方との契約価額を約3500万円引き上げるものです。

完成が遅れれば、同じ市内でありながら給食を食べられる子どもと食べられない子どもが生じるという重大な不公平をもたらすものですから、教育委員会としては業者に対して期日通りの工期を要求し、可能かどうかを徹底して探求する責任があります。ところが、実際に業者側と行った協議では、そのような要求・交渉は一切行わず、業者の言い値を丸呑みしただけだったということが、委員会審議で明らかになりました。これは教育行政としての責任放棄だと言わねばなりません。

福岡市はPFIによって「安全安心な施設サービスの確保」と「財政負担の軽減」が両立できると宣伝してきたわけですが、実際には給食サービスも提供できなくなり、利用料収入は企業が吸い取ってしまい、感染症リスクの対応に新たな税金投入をしなければならないなど、破綻があらわになりました。このような方式は根本的に見直すべきであり、したがって、わが党はこれらの議案に反対をするものであります。

次に、議案第271号「研究開発拠点用地の取得について」です。

本議案は、西区の元岡地区に研究開発拠点用地として1.4haを土地開発公社から取得するものです。

もともとこの土地は、2008年にダイハツ九州株式会社が開発センターの設立を表明していましたが、計画が凍結した状況が続き、長らく未活用の状況となっていました。そして、この地域で「元岡地区研究開発次世代拠点形成事業」の事業予定者として大和ハウスグループが決定し、計画が再度動き出しました。

ところが中身を見てみると、研究開発スペースはわずか4分の1程度、大半はツタヤなどの店舗と住宅、一番広いところはツタヤなどが使う巨大な駐車場という計画になっています。これのどこが「研究開発次世代拠点」なのでしょうか。「研究開発次世代拠点」を呼び込むために、多額の税金を使った本市の誘致活動は、全くの無駄金だったということになります。

委員会の審議では、市側はこの顛末を何ら反省せず、これからも推進するという姿勢を示しており、このような議案をわが党は容認することはできません。

次に、わが党が賛成する議案についても意見を述べておきます。

議案第223号「福岡市子ども医療費助成条例等の一部を改正する条例案」についてです。

本議案は、通院の医療費助成の対象を現在の小学6年生から中学3年生まで広げるとともに、自己負担を一律500円にするものであります。

対象が拡大し、自己負担が引き下がること自体は、子育て世代の負担軽減につながるものであり、一歩前進と考えます。

しかし、もともと約6万7000筆もの市民請願が求めたことは「中学卒業までの完全無料化」であり、わが党もこれまでの議会質問、また10月9日の市長宛の申入れで同様の要求をしてきました。そうした子育て世代の切実な願いから見れば、本議案の中身はあまりにも遅れたものだと言わねばなりません。通院については、多くの政令市がすでに中学3年生まで助成対象としているというのが実態ですが、市は本会議で「政令市でもトップクラスの事業」などと、見当違いも甚だしい答弁をするありさまでした。名古屋市とさいたま市のように、自己負担をなくし、完全無料にして、来年度初めから直ちに実施できるように手だてをとるべきであります。

市長は「ふくおか安心ワンコイン」などと言って、あたかも500円の自己負担が「安心」であるかのように宣伝していますが、全くあべこべであります。アレルギーなど頻繁に医者に子どもを通わせる子育て世代にとって、毎月の自己負担は決して小さいものではありません。

加えて、すべての病院で子どもから高齢者までどのような患者に対しても受診時に一定額を負担させる「ワンコイン」制度は、経団連など財界が数年前から執拗に導入を求めているもので、国民から広く搾り取って大企業の税負担を軽くしようという血も涙もないやり口と同じものです。無料化が広がる子ども医療費助成の分野で、髙島市長がワンコインで自己負担を残すことにしがみつくのは、このような国・財界の意向を福岡市で先取りするモデルになりたいという野心の表れであり、許されるものではないことを厳しく指摘しておきます。

以上でわが党の反対討論を終わります。